作業一日目
1頭目の猪。後で何か作ろうと、皮をなめしておくことにしました。
解体した後に、冷蔵庫に保存していた毛皮を出して、皮をなめすために下準備を始めます。マダニ対策と水濡れ防止に、長靴、ぴったりして手首まであるゴム手袋、長袖長ズボンで作業をします。
1.樽に水を張り、ゴム手をして中庭でゴリゴリと10分水洗い。
2.次は、毛皮を上にして2時間干す。
3.台の上に裏返して、余分な脂肪や肉を丁寧に取り除く。
(解体時は、初めての解体だったのと、アジ捌き用出刃包丁一本でやっていたので、厚さ1cmの脂がついているとことも多くありました)
3時間かけて、また小出刃で端から端までゆっくり丁寧に。
2時間半後、皮ハギ用のナイフを黒猫さんが届けてくれました。
皮についた脂を削いで、削いで。
でも、皮が薄いお腹の部分や足などの端の部分では、切れの良いナイフで皮を切らないように注意が必要です。
今日の作業は終了。
大きいビニール袋に2重にくるんで、再び冷蔵庫へ。
この皮はぎナイフは、全長27cm、刃の部分だけでも15.5㎝。鹿にはちょうどいいですが、猪のなめし作業には、半分くらいの大きさの方がもっと使いやすそうです。
特に猪は脂がのっているので、皮をはいだ後も脂を取り除く作業に手間がかかります。皮を破くのが心配な方は、切れ味の良いナイフを使い、皮と脂を表裏から指で挟んで、脂の部分をまず切り取ってから(手を切らないように注意して)、平らな板の上で、皮ハギナイフを使い、ゴリゴリ脂を削っていくとよいかもしれません。
作業二日目
1.冷蔵庫から出して、2度目の水洗い。
今度はシャワーで表を5分、裏を1分もみ洗い。
2.平面の上に皮を置き、裏面に残った脂を皮はぎナイフでガリガリと削っていきます。脂が厚いところはナイフを立てて、脂が薄いところや皮が薄いところは、ナイフを寝せて慎重に削ります。
(104gの脂が取れました)
3.新聞紙を3重にして皮をのせ、生ミョウバンを表面にこすりつける。
特に耳の周り(軟骨)、鼻の中、穴が開いている部分や端の部分は、特に丁寧に擦り付けていきます。端の部分は、皮をはいだ時に内側に湾曲してしまいますが、生ミョウバンの粉がつけばきれいに広がります。仔猪のため、使ったミョウバンの量は、500g。
4.皮の上にも新聞紙を3重にして、上下で挟みぐるぐると巻いていきま
す。このまま10日間ほど、ビニールに入れ、口は閉じずに部屋の中で保存します。
ここで気になるのは、耳と鼻。耳の中には軟骨が残っており、鼻の外側は、鼻そのまま(内側の肉は取り除いています)。ミョウバンはたっぷり塗り込んだものの、乾いた後にどうなるか。
猪の皮は、毛皮というよりは皮膚という感じです。地方によっては、猪に湯をかけて毛を抜き、皮ごと食べるというのが分かった気がします。豚の元だから、当然ですね。
皮なめしの下準備としては、皮に脂が多く残っている場合には、皮と脂の境目が分かりづらいため、切れるナイフで脂を薄く切っていくのも良いかと思います。皮に薄くしか脂が残っていないときは、こそいでいくと皮を切らずに、作業も早く終わります。
5.11日目にして、恐る恐る開いてみます。
開けてみると、新聞紙に巻いたときとあまり変わらないような…。
ミョウバンはつけすぎてました。内側のカサカサの部分に、そのまま残っています。
指で削り取っていくと、中には脂がまたたっぷりそのままでした!
そこで、皮はぎナイフの背の部分を使って、荷台の手すり部分に皮をぶら下げて、ゴリゴリ脂を削っていきます(刃の部分で慎重にやっても、皮が薄く締まってきているため、すぐに切れてしまいます)。
脂の下にある皮の部分には、ミョウバンが効いているようで、ごわごわの皮らしくなってきています。
100gくらいは脂が削り取れたのではないでしょうか。
皮が締まっているため、強めにやっても大丈夫でした。
脂をこそいだ後に、生ミョウバンと塩一掴みずつを水で溶いて、ざらざらにしてから、塗り付けていきます(塩は匂い取りと防腐剤として使用しました)。
今回は、水で溶いたものを全体にこすりつけた後は、生ミョウバンのみを上から、更に擦り付けていきます。全体がしっとりと馴染んでいます。
そして、皮の表裏に新聞紙を三重ずつにして巻き直して、部屋の中であと10日間ほど保管します。
6. 三度、新聞紙を開きます。
全体をナイフの裏側で擦り、ミョウバンを削り取ります。
ここでも、まだ猪の脂が一緒に取れます。
やはり、如何にこの脂をぎりぎりまで、取り除いておくかが、良い猪皮なめしの鍵になりそうです。
日向でやっていると、脂が解けて滲んでくるところもあるほどです。さすが猪の脂ですね。端の部分の脂が数ミリある部分や全体も木づちで叩いて、脂を潰したあとナイフで削り取りました。
全体的にミョウバンや脂を取り除いたら、木の枠に打ち付けます。できるだけ張った状態をつくります。
今回は、脂が出ている部分を中心に、再度生ミョウバンを水で溶かして塗り付けました。そして、木枠を日陰で干します。
翌日には、全体的に白くなり、硬くなっています。
脂も乾燥してきてあまり目立ちませんが、よく見ると脂がそのままの状態で残っている部分もあるようです。腐敗防止のため後で取り除く必要がありそうです。
油を塗る
3日目にしてぐっと皮が縮んできたので、ひまわり油を塗って少し伸ばしました。
数日たつと少し皮がこなれてきて、ゴワゴワながら、やや柔らかくなりました。
しかし、毛の間にミョウバンの粉がたくさんついているので、流水で洗うことにしました。手やブラシでゴシゴシと。
それから、竿にかけて干します。
塗っておいた油が効いているので、内側はそれほど湿らず。水気がある程度乾いてから、陰干しにしました。
テーブルの縁や丸くしたりして揉んでも、ゴワゴワ感は取れず。乾いたら、また揉んでみる予定です。