一日三頭!

この日は朝8時過ぎに猟場に到着しました。
1月も下旬に入り、冷え込み続きで期待できます。

一頭目
林道から山に入って20分が経った頃、沢沿いを歩いていると、奥の峰と右側の尾根のところで「コー、コー」と猿が鳴いています。

そして、ガサッという軽めの音がしました。
「猿が木から下りて、別の木にでも移ったかな?」と思ったら、続けてガサッガサツ

音は、傾斜が60℃はある左上の斜面の上から。谷の底にいる私には、何が動いているのか見えません。すぐにしゃがんで、地っと身を潜めます。
葉っぱを探る音は、5分ほど続いたり止んだりですが、運のいいことにこちらに近づいてきます。

音を立てないように三歩進み、木の後ろへ隠れて立ち上がります。
ここからは30mの撃ち上げですが、その奥には安土があります。

谷からの撃ち上げ30mでしとめたウリ坊
急斜面の瓜坊

ちらっと猪の背中が見えました!そのまま構えて、姿が見えるのを待ちます。
そして、足から上が見えたところで、首元へ「ズドン」

15㎏弱のウリ坊でした。
腹を出して沢につけ、奥へ進みます。

二頭目は、そこから10分ほど沢を登った先の開けた谷でした。
枝尾根の向こうから、またガサガサガサと音がします。今度はさっきより音が大きい。
姿を見ようと、少しずつ尾根に近づいて向こう側を覗くのですが、灌木とちょうど差してきた太陽の光で、どこにいるかさえ掴めません。

枯れ枝でできた盛り上がりの向こうから出てきたウリ坊
枯れ枝でできた盛り上がりの向こうから出てきたウリ坊

しゃがんで近づいてくるのを待っていると、今度は奥へ移動しているようです。
ついに音がしなくなって5分。

今回は駄目だったがと、ゆっくり枝尾根を越えると…。

なんと左側斜面の溜まった枝のところへ、サッと隠れるやつが!
しかも、その枝や葉の溜まった山から、ちょっとだけ背中が出ているじゃありませんか。

じっと待つこと2分。
何事もなかったかのように、瓜坊は奥へトコトコと歩き出しました。
すかさず首元へ「ドンッ」
大物の猪は出なそうだったので、途中で沢につけたウリ坊も抱えて山を下りました。

三頭目はワナでした。
一昨日ワナの位置を変えて初の見回り。まさか一日三頭はないだろうと思っていたら…。

そのくくり罠にかかっていたのは、立派な三段鹿でした。
このしかも50kg越えです。

50㎏超の三段角をもつ鹿
立派な角をもった鹿。足元のワイヤーが木に絡まって倒れていました。

そばにあった2mほどの高さの細い木にワイヤーが絡まり、立ち上がれずにいました。
今期はなぜか罠にかかるのは、立派な三段角を持つ雄ばかり。
いまのところ雌鹿は、銃で仕留めた一頭だけです。

やっと冷え込んできたので、朝早めに猟に出れれば期待できそうです。

昨年の一年目は、50㎏くらいの猪がドスドスと谷の向こう側を走っていくのを見てから、実際に一頭目の猪を撃つまでの苦労を思えば、二年目はあまり猟に出れていないにもかかわらず、なかなかの成果です。

山から獲物を下す苦労は相変わらずだけど…。

猟犬の訓練

猟犬リクと軽トラに乗って山へ出かけます。
4ヶ月経ち、凛々しくなってきた陸

海部犬のリクも生後4カ月を過ぎて、ぐっと凛々しくなってきました。
朝晩の散歩で、河原を走ったり、山を散策したり、砂浜を駆けまわったりと楽しく過ごしています。
その中で、猟のときの訓練も行います。
・リードを短く持った時には、飼い主の前を歩かないように。
・左手にリードを持ったら右側に回らないように(その逆も)。
・下り坂では引っ張らないようにゆっくり歩くこと。

その他では、
・猟犬を人間嫌いにしないように、子供たちに触ってもらう。
・餌を食べるときに撫でる。
(猟で猪や鹿を噛んだ時に、すぐに引き離すことができるようにするため)

山での陸


今日はそんな訓練の一環で、軽トラの後ろに乗せ、一緒に罠の見回りへ行ってきました。山では、いつも嬉しそうに動物の臭いや痕跡を探します。

鹿肉のカタルーニャ風シチュー(徳島のスダチを使って)

鹿肉を使ったシチュー
  • 今回は、雄鹿の背ロースと内ロースを使ったシチュー(4人前)です。

1)5ミリの厚さにスライスした背ロースと3センチ幅に切った内ロースを小麦粉をつけて油で揚げます。

2)圧力鍋に、ココナッツミルク1缶、トマト缶1つ、鳴門金時2本(5㎜スライス)、那賀町の冬のシイタケ2袋(小さめのシイタケ20個くらいを各4つ切りで)、人参2本、玉ねぎ2個をお好みで切り、15分ほど圧力を掛けずに煮込みます。

3)上記の1)と2)を合わせて、塩で味を調えます。味に深みを出したいときにはだし汁を加えます。

4)今度は圧力をかけて、15分ほど煮込みます。

5)最後に徳島のスダチを入れて酸味を加えれば出来上がりです。

ロースの周りにスジがあっても、そのまま使ってで大丈夫です。鹿肉のスジ部分は、も煮込めば比較的短時間で柔らかくなります。

スダチの酸味と鳴門金時の甘味のバランスが楽しい一品です。

狸も痛そう。

猟をしているとき、ときどき藪漕ぎをします。
動物の作った道(通い)を行くだけでなく、追っている獲物の先回りをしたり、新しい猟場を見つけるためだったり、尾根の向こう側へ早く行くためだったり。

そんな藪漕ぎのときに一番厄介なのが、いばらのトゲです。
それは動物たちも同じ。
このタヌキもかなり痛かったろうと思います。

皮膚ごとごっそり茨にひっかかってました。
皮膚ごとごっそり茨にひっかかって、かなり痛っただろうに。

尻の隣をモグラが…。

最近は、渉猟(歩き回って猟をする)しながら、鹿狙いの時には、30分ほどじっと獲物が来るのを待つこともあります。

鹿は耳が良いため、100m先からでも簡単にこちらの足音を聞きつけます。
そのため、鹿がいそうな場所で、もしくは鹿が通りそうな場所へ先回りして、忍んでおくのです。そんな待ちの時間には、コゲラやメジロなどの鳥や時には猿などもやってきます。

そして、この日は何とモグラ。

どこからともなく、「ガサゴソ、ガサゴソ」
近そうなのに音は小さく、どこから音がするのかしばらく分かりませんでした。

きょろきょろしていると、お尻の横の葉っぱが、ぐぅーと持ち上がりました。
止まったと思ったら、またぐぐっと浮いたり沈んだり。
「ブチブチブチっ」根っこが切れる音がして…。

こんな時は、猟をしているのも忘れて、思わず吹き出しそうになってしまいます:)。
色んな動物の生活の様子が分かる。森の楽しみの一つです。










筋骨隆々の野犬?

一昨日の雄鹿を捕った後、雨が降りました。
雨の後は、そう。猪がワナに掛かりやすくなります。

楽しみにしながら山を上がっていくと、途中で首輪をつけた5㎏くらいの犬が、枝尾根のところでこちらを見つけ盛んに吠えてきます。
猟犬にしては小さくて、こちらを見ながらワナの方へ走っていきます。
「近くの家の人が放し飼いにしているのかな」くらいに思っていました。

そしてワナのところに行ってみると、筋骨隆々の野犬がくくり罠にかかっていました。
幸いにも、今朝方掛かったようで、足はケガもなく元気。

近づくと、おびえて歯をむき出しにして吠えてきます。

すぐにダウンジャケットを脱いで手元を隠しながら、ワナを仕掛けるために持ってきたスコップを左手に持ちます。
(噛まれたら、狂犬病が心配…。)

大きな動きや急な動きで犬をびっくりさせないように注意しながら、谷側へ犬を動かしてから、まずバネの下の留め金を緩めます。

あとはスコップの木の部分を噛ませて、(一度目は失敗。下に垂れたジャケットの袖の部分を噛まれました。二度目で成功)谷側へ頭を押してから、足のワイヤーを右手で緩めます。すると、犬は一目散へ谷側の方へ走り去っていきました。

5分も掛からず、「今回」は無事に助け出すことができました。

実は、小学3年生のころ似たような経験をしたことがあります。その経験が活きました。

ある夏の日、ギャーギャーという、凄まじい叫び声が道の下の方から聞こえてきます。
尋常じゃない声に驚いていってみると、そこには足を挟まれた猫がいました。
干上がった用水路に、誰かがトラばさみを仕掛けていたんです。

その頃うちの田舎では、野良犬や野良猫がたくさんいて、小学校の帰りに野良犬の群れのボスである”野良シェパード”に尻を噛まれた上級生もいました(ニュースにもなりました)。

その猫は、私を見ると口を大きく開けて、牙をむき出し、毛を逆立ててこちらを威嚇してきます。
近づこうとすると、暴れてさらに牙をむいて手がつけられません。
なだめても、距離を置いても、全然収まる様子もありません。
2時間以上粘って、何とか助けようとしたのですが、その時は諦めて帰ってしまいました。三日目に見に行くと、トラばさみは閉まったままで、何もいませんでした。

それから一ヶ月後に、その近くを歩いていると、左前脚の先が無いあの猫が歩いていました。

助かってよかったとホッとしたことと、助けられなかった痛さが心に残ったのを覚えています。
今回は自分が仕掛けた罠なので当たり前ですが、筋骨隆々の犬も躊躇なく、短時間で放せたので本当に良かったです。



3歳の雄鹿、くくり罠に掛かる。

鹿の大きな足跡と50㎏前後の猪の足跡、あとは20㎏弱の猪の足跡。これが二つ目のワナを掛けた場所に来る動物たち。たまに犬。

罠を掛けてから3週間くらいは雨も降らず、ヌタ場の水も干上がってきたころ。前日に、ヌタ場で寝っ転がった跡ができて、やっと山奥から降りてきたかと思ったら、雄鹿が罠に掛かりました。

今年は渉猟になかなか出れないせいか、その分ワナが活躍してくれています。
次のターゲットは猪。ヌタ場の猪が入ってくる場所に罠を掛けて、どうなるか楽しみです。

3歳の立派な雄鹿
右の角が途中で折れた50㎏オーバーの雄鹿でした。

6頭、鹿を見るも

久しぶりの渉猟にでました。この日は、一番奥の猟場です。
朝9時頃から入ると、歩いて15分ほどで最初の谷に入るところで、鹿二頭が上へ向かう斜面奥へ走っていきます。距離100mほど。

杉林の間にちらちら白いお尻が見えるのですが、撃たず。その場でじゃがんで様子を見ます。
一匹は鳴きながら走り去り、さらに100mくらい先で止まっても3分くらい鳴き続けます。
そこで、大きな岩ばかりの谷をゆっくり登りながら追っていきます。
けれども、裸眼ではどこにいるか見つけられずに、足元の石が「ガラっ」と音を立てた瞬間に、また奥へ奥へと走られました…。

今度は、警戒音がどんどん小さくなっていきます。
急いで追うも、また石に足を取られ大きな音と共に石が下に落ちると、谷の左側斜面で別の鹿が「ぴー!」
目をやると150m先の急斜面を1頭駆け上がっていました。

とりあえず、そのまま谷を上がり、頂上まで登って稜線を移動します。
その間も下の方で、鹿の警戒音がするのですが、木々に隠れて全く姿は見えません。

次は、枝尾根の間の谷部をおりて、鹿が谷を横切るの撃つ作戦へ。
450mくらいから300mまでは、下を見回しながらゆっくり降りるも鹿は見当たらず。

そこで、そこからはざくざく音を立てながら、一気におります。
50mも下りたでしょうか。
足元からふと目をあげると、鹿2頭が60m下を右から左へ走っていきます。
樫などの灌木が多い。

さっと、銃を構えて狙いをつけようとすると、その後に遅れて一頭が走ってきました。
銃を右からスイングさせながら、狙いをその鹿の首元につけて「ドン!」と撃つと…。

なかなかの急斜面、灌木があってもいけるとおもったけど。

見事に樫の木に命中:)。
あと20㎝でいいから左に生えていてくれたらよかったのに。
というか、ほんの少し早く撃てば良かった。