木槌の柄について

先日、木頭の師匠から木槌の柄や作り方について、教えてもらいました。

・柄には、粘りがある木を使うこと。
・そして乾いても曲がらない部分を使うこと。

「この辺では、「そばの木」を使う」と。
・切ってから、10年くらい干しておくと一番いい。
・木の北側半分、かつ、皮(外側)に一番近い部分を使うと曲がらないし、強い。
(木の南側半分は、どんなに調整しても乾くと曲がってしまう)

・生木をある程度整形してから干すこと。
(乾いて切ると固くて、柄にするのが大変)

その時、木頭の師匠が、自分が弟子の時の話もききました。

「お前は頑張ってるな。この木(そばの木)の半分をやるから、お前も作ってみろ」と。
師匠がまだ弟子の時代に、自分の師匠に言われて、柄をつくってみたんだけれど、
「なんどやっても、どうしても曲がる」「なんどやっても、何日も掛けて削ってやってもダメだった」

師匠にそれをいうと、笑われて、
「そうだろう。お前にやったのは木の南側半分だ。おれも師匠にそうやられたんだよ」と。
それで、木頭の師匠も「そばの木の北側半分じゃないと曲がって使えないというのを覚えたよ」。

他にも、何年も干した木でも、良い部分・使える部分が少ないこと。
ヒノキも野ざらしにして、周りを腐らせて、芯の強い部分を使うことなどなど。

手間も技も知識も使い、時間も掛けて、はじめて木で何かが創られる。
なおかつ、急峻な山の中で、沢山の木を見て回って、作るものに最適な木を探すのは大変です。
すごい!!

そばの木の葉
そばの木の葉。葉の周りに小さなギザギザがあります。
これがそばの木
これがそばの木

そばの木の幹は椿に似ていますが、違う点は、木の皮がバリバリと裂けているところ。
あとは、結構幹が曲がっているので、真直ぐな部分が取れるのはほんの少し。