今日はサルナシ。鹿ナシ、猪なし。

午前中、長い急斜面を登ったあと、小さい枝尾根を抜けて一息ついた瞬間です。
30m先の40㎏ほどのメスジカ三頭に走られました。灌木の隙間に一番後ろのお尻が一瞬見えただけ。後は、灌木だらけで、隙間がないほど。

午後は、海際へ。禁断の絶壁へ行ってみました。昨年から行ってみたかった場所です。鹿がいるのは分かっているのですが、下へ下るだけ。しかも急斜面。撃った後のことを考えると、通常はあり得ないのですが…。様子見もかねて。

山ぶどう、アケビ、そして、サルナシが所々で絡み合っています。
11月下旬で、実がついているのは、サルナシだけ。
まだ硬いもののありましたが、熟れているのは甘酸っぱくて美味しい。猟の合間に喉の渇きをいやしてくれます。

サルナシの蔓と実
サルナシの蔓と実
キウイの元です。
キウイの元です。

3月中旬の猟(ビャー!)

一週間の東京出張から戻って、3月16日14:00から久々の猟へ出かけました。
この日は朝から雨で、午後から少し強くなってきたところ。

いつもの猟場の反対側、川を挟んだ奥へ広がる第2の猟場へ向かいました。
出発地点を過ぎてすぐ、丘の上にある荒れた田んぼには、2~3日前の大型の鹿の足跡があります。

この一ヶ月、なかなか猪や鹿の痕跡が見つからず、今一つ緊張感がなく困っていましたが、雨に打たれながらも、ぐっと気も引き締まります。

今日は、いつもと逆回りで、民家の横を家主の方に挨拶してから、一気に斜面を奥へと登ってきました。

今日は、葉っぱを叩く強い雨の音で、耳が全く効きません。2時間を過ぎたあたりから、谷側に靄(もや)も出てきて、視界も20mくらい先まで何とか見える程度です。慎重に進み、止まっては、右やや後ろから左までぐるっと探す。その繰り返し。

登り斜面では、何も見つけることができずにいました。足跡は雨に叩かれて形を失い、糞も雨に濡れて、いつのものか判断できず。
それでも、ゆっくり進みます。

疲れがでてきたころ、ちょうど下り斜面へ入りました。屈んでは灌木の隙間から、鹿を探しますが、薄暗い谷側の斜面では、10mくらいまで近づかないと、はっきりと何か分からないほどです。

尾根から7m下ったところで、

ビャー!!

中型の雌鹿が、相当驚いたのでしょう。
下り斜面、距離は15m。
飛び上がるほどの声を出して、左10時の方向から、真横へえらい勢いで駆け出していきます。

銃で後を追うも、1秒ほどは灌木の間に姿がちらちら見えるも、その後は灌木が重なり姿が見えなってしまいました。

20秒ほど足音を聞いて様子を見た後、斜面を降り歩きながら足跡を追っていきます。
はっきりした足跡。蹴りだした土。
通いを横切る枝には、鹿の毛が付いています。

走り高跳びのバーのようになった、ひざの高さにある横枝にも。
この真横に伸びた枝を飛び越えると、今度は頭が上の枝につっかえるような場所も、淀みなく走り去っていったのが、不思議でしょうがない。

さすが鹿。
猟場で歩いていると、人間からするとほぼ崖、そんな急斜面の10㎝幅のところでも、足跡が付いている。本当に驚きです。

今日は、3時間のみ。
鹿をびっくりさせたということと、久しぶりに聞いた声が嬉しかったので、良しということに。

でも、手ぶらで帰るのは、口惜しいので、
きくらげを一山とってから帰宅しました:)。

キクラゲ
いつの間にか雨も止んで

21日目

さすがに毎日いつもの猟場では限界がある。

初日から二週間は、良く猪や鹿に出会う。
でもそこから出会いの数が急減していきます。

そこで、今日は昼前から、昔から地元の人たちが猟に使っている谷へ。
初めて行く場所なので、携帯の地図&GPSソフトを早めに起動しておく。

沢沿いの道を上がった後、なだらかに左右に曲がる林道を登ること40分。
山が高くなるについて、沢が深い谷になっていく。
V字の谷、両側30m。

麓から高さ150mくらいまでは、高い杉の林。
200~300mの高さは、広葉樹の高さ3mほどの細い灌木がそれに加わる。
谷に沿って上がっていくと、バキッと大きな音がした。

パキ、パキッ。

鹿がいる。谷の下の方から音がする。
50m前からも、枝が踏みつけられる音が。そして数分後には50m後ろから、こぶし大の石がゴロゴロ落ちていく音まで。

3匹?

落ち葉や杉の枝が足元には積もっている。前には50㎝~1mの高さの木々が枝を広げていて、前にも後ろにも動けず。
音がする度、前や後ろ、そして横を睨む。

けれども、谷は深く、水の流れる底は見えない。しかも日光がこちらへ向けて差しているため、逆光で見ている方は暗く、音だけが頼り。

辛抱、辛抱。

でも15分が限界でした。
前方の大きい音は、だんだん遠ざかる。
横と後ろの音は、たまに小さくパキッとするくらい。

横と後ろの音は気のせい?
(そんな訳はないんだけど、辛くなると好きなように考えてしまうのね)

思い切って、前の音を追うことに決める。
音は最小限にしているつもりでも、枯葉や枝を踏む音は出る。
5歩も進まないうちに、

ピー!

谷川を挟んで、真横で鹿が鳴いた。
でもいくら薄暗い谷を睨んでも、周りを見ても何も動かない。

(後日、山をもっと歩き出して分かったのだけれど、深い谷のせいで、その上や反対側にいた鹿の鳴き音が響いていたようです。)

仕方がないから、まっすぐ頂上を目指して、下草や3m前後の灌木を避けながら、高い杉山を登っていく。

途中、谷へ降りる所があったので、さっきの鹿を探してみる。
確かに足跡はある。

「でも、ほんとにこのV字の谷を登っていったのか?」
というくらい急斜面、というか壁に近い。

何とか足場になりそうな岩があるところを探して、落ちないようにその壁をよじ登る。

斜面に生える木を片手で掴み、石のそばに足を置いて一気上がろうとすると、

ゴトッ。ガラゴロ、ゴトッ。

50㎝くらいの大きな石を足で蹴落としてしまう。
ふっ~と息を吐いて、谷から右の山側へ出る。

灌木が濃くなるにつれて、猪の掘った穴や鹿の糞、足跡も濃くなっていく。
そのまま登っていくと、灌木の隙間から網が見える。

8合目あたりに鹿よけの網がしてあり、そこから上は2mほどの杉が植えてある。
その上には広葉樹の木々が見える。
右に行くと、なんと林道があり、左に行くと網が続く。

左へ行き、谷の上部を越えて向こう側へいくことにした。
そこから、少し下りながら奥へと進む。

山の斜面、尾根にも谷にも、立派な杉が見渡す限りに広がっている。
頂上部分に木や広葉樹が、僅かに見える。

尾根が一つ一つ谷で区切られ、杉林で上まで見通せる。
犬を使って、鹿や猪を上から追い出し下から撃つ、巻き狩りには絶好の場所。

でも、忍び猟には最悪でした。
150mも離れたところから、簡単に鹿に鳴かれてしまう。

ピー。
見通しもいいから、声もよく通ること。

小型のメス、2頭。可愛らしい白い尻が、上へ懸命に走っていく。
鹿がいた高さまで登ろうと、右手に進路を変えて進むこと2分。

ピー。

今度は4頭。頂上付近を、米粒くらいのメスが右から左へ、灌木や岩に出たり隠れたりしながら、バタバタ跳ねながら走っていく。

米粒の大きさだけど、銃口で追いつつ、3度目に姿が見えれば撃とうと思っていると、3度目は無し。岩の後ろへ行ってしまった。

口惜しいので、やっぱり鹿がいたところまでそのまま登る。
大きな岩を超えると両側の谷を見渡せる場所で、15分じっとして待つ。

フードを被っても、ときどき吹き抜ける風が冷たい。
もう駄目。性格的にも、じっとしていられない…。

一番大きな谷を中心に、大きく弧を描くように元来た場所へ降りていく。

尾根を越える毎に、沢がある。
杉の丸太の一本橋が掛かっている。しかも半分、いや三割腐りかけ。

長さ3m。微妙な距離。

一歩足を進めると、パキ。メキッ。
折れたら、下のあの岩へ飛び移ろうと考えながら、また一歩進む。
半分まで来たら、もう一気に走る。つもりで、急ぎ足。

いや~、折れないでよかった。ほんとに。

もう斜面を大きな足音を立てながら、斜めに歩いていく。
どんどん下る。

 

攻め方を変えれば、確かにここはいい場所かも。
一番端の尾根から頂上まで上がり、横へ移動していけば、もしかしたら、灌木の間から鹿は撃てるかも。ただし、先に鹿に見つからなけれの話だけど。

今日は、4時間半。ちょっと緊張した。
平均斜度45度。
ときどき、杉の枯れ枝や落ち葉に隠れた穴にすぽっと落ちる。
それでも、杉林は降りやすい。登りやすい。

20180126

19、20日目

19日目
快晴。
登ると風が強い。7~8m/sはある。

今日初めて、鹿のほやほやの糞を見つけた。
その鹿をみることはできなかったけど、足音だけ。

狸のフンに形は似て、大きさはそのちょうど半分くらいの新鮮なやつも。
やっぱり姿は見れず。

尾根や頂上では、昼になっても霜柱が元気で立っている。
谷から吹き上がる風も、時折吹いてくる横からの風も冷たい。
山に8時間半。

次の山は30分の下見。
さぁ、明日は1時間早出で行こう!
20180125

20日目
今日も快晴、頂上付近は10mを超す風。
昨日とほぼ同じコース。

途中は、山の頂上を避けて、八合目あたりの鹿の通いを追う。

けれども、風が葉や木々を揺さぶる音で、動物の動きは全く掴めず。
姿も見ず。

唯一、動物が動く音を聞いたのは、
周回の3/4を過ぎた下りの尾根に15分ほど潜んだ時。

20m先の尾根向こうから、ガサッ、ガサッと音が上がってくる。
大木の根元に潜んでいたが、足元は枯葉と枯れ枝が幾重にも重なっている。
動けば、すぐにバレる。近づきたいのをじっと堪えて、こちら側へ来てくれるのを待つ。

哀しい哉。音は向こう側へ遠ざかっていく。
しびれを切らして、出来るだけ音を立てないように足の裏全体でゆっくり上から落ち葉や小枝を踏みつつ忍ぶ。
体は飛び出した葉っぱや枝に触れないように右に左に下に。

やっとたどり着いた尾根からは、動くものは何も捉えることはできず。
ほんの15秒前にはいたばずなのに…。

耳が冷たい。鼻は出っ放し。
それでも、山は気持ちがいい。
20180125