大久保鍛冶屋さんと刃物の話

猟や解体、調理には、いい刃物が不可欠です。
そこで、手打ち刃物を作っていらっしゃる鉄の匠、大久保鍛冶屋さんにお話を伺いました。

大久保鍛冶屋さん
大久保鍛冶屋さん

刃の研ぎ方

片刃の刃物は、表が鉄、裏に鋼がついています。表の鉄の部分を研いで、鋼を出すことで切れ味が戻ります。表を9割研いだら、裏を研ぐのは1割。その1割も表を研いだことで出た「まくれ」を落とすため。表を研いだときに、刃に直角に指をあてるとザラザラした引っ掛かりができます。それが「まくれ」です。

通常、刃は自分の方へ向けて徳碁のですが、その「まくれ」を研いでとるときにには、刃を自分と反対方に向けて、砥石に対して垂直に置きます。そして、刃先に角度をつけず、べたっと砥石につけたまま、表で研いだ回数の1割の数だけ研ぎます。

両刃の刃物は、表と裏の鉄の間に鋼が入っています。そのため、表と裏は同じ回数だけ研ぐこと。一方だけを多く研ぐと、「鉛筆を一方からだけ研ぐと、やがて芯がなくなり木の部分だけが残り、書けなくなるのと同じ」で、両刃の刃物もやがて全く切れなくなるとのこと。

重要なのは、砥石に刃を当てる角度

砥石に充てる刃の角度は、まず刃物をを砥石に寝かせて、刃の部分に出来る隙間を刃物を起こすことで埋める。その数度の角度を保ち、研いでいくこと。

砥石に刃物を当てる角度が30~40度くらいだと、刃が鋭くならず(鈍角の刃先になるため)またすぐ切れなくなってしまいます。

また、一度に刃全体を研ごうとせずに、2cmずつ研ぐつもりで。

実際、事前に研いで頂いていた刃物で切ってみると、包丁を落とすようにすっと切れたのは驚きでした。

「包丁が切れると料理がおいしくなるから、料理を褒められて家庭円満になり、人口も増える。人口の減少は、良い包丁が止めてくれます(笑)」とのこと。

しかも30年は持つので、昔は嫁入り道具として両親が娘さんに贈ったそうです。
だから、子供も多かったのか。

剣鉈

近々、お店に伺って作業場を見せていただく共に、血抜き用や留めさし用に八寸の剣鉈を購入する予定です。いろいろな刃物や実際作っていらっしゃる作業場を見せてもらうのを楽しみにしています。

また、写真などと一緒にご紹介させて頂きます。