一日目
マダニ対策のため、野外で保冷剤を入れたバケツに入れておいた鹿の皮を水洗いします。
たらいにつけて、流水で10分ほど。
よごれやダニと毛などもしっかりと洗い落します。
長靴、手首まであるぴったりするビニール手袋 、長袖長ズボン、スパッツや靴下でズボンと足に隙間ができないようにして下さい。
——-
SFTS や日本紅斑熱 予防に、作業中はもちろん、作業後もマダニには注意が必要です。山に入ったり、農作業後、二週間以内に、38度以上の熱や水様性の下痢の時、かゆみのない赤い斑点が体に出たときには、すぐに病院へ。犬や猫に噛まれた後でも、SFTSに感染した例が出ています。
——
鹿皮そうじする前
肉の5㎜ほどの層がついたままになっています。
これをこそぎ落としていきます。
鹿の皮はしっかりしていて、肉も剥げやすいので皮はぎナイフ など、あまり切れすぎないナイフであれば、ナイフと皮の角度は30~45度くらいで、少し強めにナイフを当てても、皮が切れることなく肉が取れていきます。
竹や丸太、台車の持ち手の鉄パイプ部分などにぶら下げてやるとスムーズにできます。
近くから見ると
鹿皮そうじ後全体
まだ、端のところの脂、白や透明のスジっぽいところが残っているので、翌日の仕上げ前に再度きれいにします。
保冷剤を入れたバケツへ戻し、蓋をしておきます。(最低気温は5度、最高気温は12度)
二日目
仕上げで、端の脂や全体のスジを取り除きます。そして再度、流水で水洗い。
このとき毛の部分だけ、シャンプーや石鹸で洗ってもOKです。
木の棒などに掛けて、陰干し2~3時間ほど。
鹿皮影干し
毛の部分が乾いてきたら、新聞紙4枚重ねの上に、鹿皮を乗せて 皮の内面に生ミョウバン をまんべんなく擦り付けます。
生ミョウバンを擦りつけた後
すでに新聞に水が…
生ミョウバンをまんべんなく擦り付けたら、新聞紙を4枚重ねて、くるくると巻く。ゴミ袋に突っ込んで、10日程保管します。
鹿皮を新聞紙でサンドイッチ
鹿革を挟んだ新聞紙をくるくる
猪の皮なめしの時は、3時間ほど乾かしてから、粉の生ミョウバンを擦りつけたのですが、手洗いした後10分ほどでタオルで毛皮を拭いて、すぐにミョウバンを擦りつけました。
そのため、猪のときはカサカサな感じだったのに比べて、今回は水気が多く、しっとりとミョウバンは馴染みましたが、一方で新聞に水分が浸みてくるほどでした。さぁ、どうなるか?
四日目
やはり水分が出てきて、新聞紙の下半分が濡れてきおたので、新聞追加(6枚)して上から巻く。
七日目
時々、鹿皮を包んである新聞紙をひっくり返す。水分がまだ出てきているので、今度は新聞紙を新しくして巻きなおす。カビもなく順調のようです。
十二日目
いよいよ新聞紙を外します。ミョウバンは粉状のままで、鹿皮も柔らかい。
新聞を開いてみると
ミョウバンを取り、近くで見ると
全体のミョウバンをナイフの背で払うように取り、皮から少し飛び出している膜、脂や身を切り取り、ざっと表面を整えました。
まず台に乗せミョウバンを取る
鉄の棒に下げて削った後
台車の押手の鉄の棒にぶら下げてらにナイフの背で、丁寧に削り取ります。
その後、皮を全体的に伸ばして、皮が硬い部分に、生ミョウバンを水に溶かしたものを再度塗り込みます。
新しい新聞紙で巻く
新しい新聞紙で巻き、1週間ほど様子を見ます。
鹿皮をゴリゴリ伸ばす
すっかり鹿革のことを忘れていました!
10日以上たって、出してみると少しカビが出ている場所あり。急いでカビの部分やミョウバンを削り取り、テーブルの縁に当てて、ゴリゴリ伸ばします。足の先や皮の縁が硬くなっているので、特にゴリゴリ。強めに両方から引っ張りながら、上下に伸ばします。
なかなか柔らかい
テーブルの端に置いてみると、ぐにゃとなるくらい柔らかいのが分かるでしょうか。皮全体の縁の部分は、あまりミョウバンが効いていないためか少し硬い。足も含め、全体的に丸くして揉んだり、テーブルの丸い角に当てて、30分ほど強く伸ばしました。
気になったのは、やはり脂。皮の縁には、脂がそのまま。それほど多くはないですが、ナイフで切り取りました。
脂はカビやにおいの元になるので、やはり最初の段階で丁寧に取り除いておくとよいかもしれません。
それから、まだ内側が湿っているので、乾かします。
伸ばして、しっかりと釘づけします。
なかなか上手く行きませんが、できるだけ全体を伸ばして板に釘付けて乾かします。急激に縮まないように、陰干しで。
乾いて硬ければ、皮の内側に湿った布を当ててしばらく巻いた後、また柔らかくする作業を(繰り返)します。ヤスリをかけ整えたら出来上がりです。猪と違って毛もつやつやで多く、柔らかい。やっぱり、皮は鹿のほうがいいですね。